研究課題/領域番号 |
16520009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今井 知正 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50110284)
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研究分担者 |
村田 純一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40134407)
黒住 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00153411)
門脇 俊介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90177486)
信原 幸弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10180770)
野矢 茂樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50198636)
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キーワード | 自然主義 / 反自然主義 / 暗黙的概念了解 / 色彩 / 自然誌 / 現象学 / ウィトゲンシュタイン / 内在的なもの |
研究概要 |
哲学的自然主義の現代的可能性を検討する前提として、自然主義をめぐる哲学的思考の遺産を再検討し、ギリシャ、ヘブライ思想、日本近代思想の中に自然主義と反自然主義の対立の諸様相を探究した初年度の成果を受けて、本年は、現代の哲学的自然主義をめぐる論争状況を直接に主題化し、根本的な論点について、各研究者がそれぞれの立場から検証作業を行なった。現代的な自然主義と反自然主義の対立を一挙に解消することは望むべくもないとしても、それぞれの立場から多様なブプローチが試みられ、いくつかの重要な成果が得られた。 たとえば、従来、認識論的自然主義はアプリオリな知識を説明し得ないとされてきたが、暗黙的概念了解と想像による概念連結を根拠として、自然主義的立場においてもそうした知識が説明可能であるという見解が得られた(信原)。また、色彩概念は長らく物理的説明に委ねられ哲学的アプローチに乏しかったが、現象学やウィトゲンシュタインの知見を参照することで、色彩概念が自然主義的還元を許さない多次元性をもつことが示された(村田)。自然主義批判の立場はまた、哲学の基礎付け主義や強い意味での正当化要求と、極端な自然主義や懐疑論が裏腹の関係にあり、それらのいずれもが、人間の実践的世界における自由や合理性、真理や正・不正の経験の「内在性」に基づくことを示すことによっても展開できる(門脇)。ウィトゲンシュタインの後期哲学にも、通常の自然主義とは異なる、人間の「自然誌的」過程における実践に意味や規範の前提を求める「超越論的自然主義」が見られる(野矢)。 このほか、日本思想史における「倫理」の位置づけ、現代世界における「公共哲学」の可能性などを問う中で、自然主義の限界を明らかにする作業も行なった(黒住、山脇など)。
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