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2004 年度 実績報告書

友愛の哲学-アリストテレス研究-

研究課題

研究課題/領域番号 16520010
研究機関東京大学

研究代表者

山本 巍  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70012515)

キーワード友愛 / アリストテレス / プラトン / ソクラテス / 生死 / リュシス
研究概要

テーマ「友愛の哲学-アリストテレス研究-」に従った本年度の研究は、アリストテレスが『ニコマコス倫理学』で展開した友愛論の原論に当たるプラトンの『リュシス』の研究に絞って行われた。特に夏はイギリス・ケンブリッジ大学へ出かけ、そこの大学図書館と古典学部図書館で資料を収集しつつ研究を重ね、『リュシス』についての論文を8割方完成することができた。その成果は帰国後加筆訂正して、『哲学・科学史論叢』第7号に掲載した(東京大学教養学部哲学・科学史部会編、2005年、1-48頁)。
その中心的な論点は、生死の境界領域たる老人のソクラテスを中心とした少年同士、青年同士の友情から親子の愛情、教師と生徒の愛情に至る人間の心理の成長を視野においた分析であること、議論は「誰が誰の友か」を巡っており、しかも似たもの同士の友は自他の区別が消えて「友がいない」逆理があり、似ないもの同士の友は結びつきの紐帯がなくて「友がいない」逆理があること、従ってどのような人がどのような人とどの点で似ておりどの点でどのような点で似てなくて、どのような所以のことを共にすることで友となるか、なりうるか、が問題として浮き彫りになることを示した。その「どのような点」「どのような所以」を更に子細に分析したのがアリストテレスである。
しかしプラトンの友愛論に伏在する問題点としてもう一つ残った。人は死ぬ。その死んでいく人に友はあり得るかということである。死は人と人を分断する。そこには「共にする」ことが何もない。人間には友不可能性が絶対の深淵として脚下にあったのである。この深淵を跨いでどのような友愛が可能か、はアリストテレスにおいて更に探求される課題となった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ソクラテスは泥棒!?-プラトン『リュシス』に見るペテンと友愛2005

    • 著者名/発表者名
      山本 巍
    • 雑誌名

      哲学・科学史論叢 7

      ページ: 48

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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