研究代表者藤澤は、研究課題の遂行のために、まずプラトンの初期政治思想の確認作業をおこなった。『ゴルギアス』『クリトン』『弁明』『第七書簡』等を参照にして、プラトンの初期政治思想を、所属大学の研究紀要に発表することができた。なお加えて、後期政治思想が緒に就く『政治家』の研究をすすめている。 研究分担者の本年度の状況は以下のとおりである。アリストテレスは、最善の国制の構想と現実の国制の維持と変革という重層的な理論構成のもとで国制論の探求を進めている。現実の国制の分析は、動物学の手法を援用したものであり、国制の諸部分の析出とそれら諸部分の組み合わせによる諸国制のモデル的構成に基づきつつ、それに適合した法律と制度の工夫による国制の安定化を目標とする。最善の国制論については、その概念的基礎として「カタ・ピュシン(自然に適った)」という概念が重要である。本年度は、『ポリティカ』第1巻におけるその概念の使用法を分析した後掲論文の発展的研究として、自然性を規範とする思考法の起源をプラトンの『ノモイ』第10巻の神学に求め、目下、その成果をまとめている。
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