研究課題
現実的諸存在は、時間的にも空間的にも、特殊性、限定性が刻印されている。そのため人間は、東西を問わず、自分自身と周りの世界の「有限性」を、様々な仕方で理解しようとしてきた。本研究は、西洋思想、東洋思想、日本思想、科学史・科学論など、様々な領域の専門家が、学際的、比較思想的な視野に立って、現実的諸存在の「有限性」がいかなる哲学的基礎付けの下に理解されてきたかを明らかにすることを目指すものである。昨年度までに、本研究の研究分担者は、上記の様々な研究領域において、「有限性」がどのように捉えられているかという問題を、個別研究という形で検討してきた。その成果は、昨年度末に『有限と無限』(遠山敦編、三重大学出版会)として公表することができた。研究の最終年度に当たる本年度は、そうした個別の分野における「有限性」についての研究成果が、それ以外の研究領域での理解とどのように関連するかを主に検討した。ほぼ月1回のペースで、各研究者がすでに発表した論文の内容を検討する研究会を開き、個別領域における「有限性」理解をさらに深めた。それとともに、当該の論文がテーマとする領域とは別の分野の研究者と意見を交換することで、「有限性」という概念が東西の思想においてどのような意義をもっているのかについて知見を広げることができた。その結果、さらに、「進化論とダーウィンの時代」、「プラトンにおける死の規定と脳死」などの論文が各研究者により公表された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
科学技術政策研究所講演録 179(文部科学省 科学技術政策研究所)
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現代倫理学事典(弘文堂)
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モラリア 13
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