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2004 年度 実績報告書

『中庸』解釈から見られる伊藤仁斎の倫理思想に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520015
研究機関三重大学

研究代表者

遠山 敦  三重大学, 人文学部, 教授 (70212066)

キーワード伊藤仁斎 / 『中庸発揮』 / 日本近世儒教 / 中庸 / 倫理学
研究概要

1、本年度は、主として伊藤仁斎『中庸発揮』の所謂「上篇」、即ち『中庸』前半部の注釈に焦点をあて、第一章を中心とする性・道・教概念の相互関係、及び第二章以下展開される「中庸」概念の把握に見られる仁斎固有の解釈に関して研究を行った。方法としては、仁斎が注釈に際して批判的対象とした朱子『中庸章句』と対比しながら、既に翻刻済みの第一本から元禄七年校本に至る仁斎の注釈の変遷を跡づけ、そこに彼独自の概念把握がどのように展開していったのかを明らかにしようとするものである。新たに得られた知見としては、第二章「道也者不可須臾離也」における「戒慎恐懼」の扱いに関わる問題を挙げることができる。本章は朱子による『中庸』解釈の中枢に関わる「未発・已発」説を否定する点で、早くから仁斎独自の『中庸』解釈が展開されるが、その一方、朱子の修養論の中心に関わる「戒慎恐懼」解釈は元禄七年校本段階に於いても未だ十分には否定されていない。続く第三章の「小人」解釈の変遷との対比と相俟って、ここに『中庸』を「教」中心の書と捉えるか「道」中心の書と捉えるかという、解釈上の大きな岐路があったことを窺うことができた。
2,研究にあたっては仁斎自筆校本の様態にも配慮する必要があるが、本年度は天理図書館において、同図書館古義堂文庫所蔵の『中庸発揮』元禄十年校本を中心に調査を行い、仁斎生前最終講義を受講した東涯の補筆から、元禄七年校本以後の仁斎最終稿の復元を図った。また、同文庫蔵稿本類の調査として、未整理の『中庸発揮』及び『童子問』稿本を複写し、研究資料として使用しうる形に随時翻刻・整理を行った。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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