研究課題
基盤研究(C)
構成主義的な哲学的意味理論の構築に向けて、主として以下の三つの観点から研究を進め、それぞれ一定の知見を得た。1.この種の意味理論が背景として持つ、実在論-反実在論という対立について、量化命題論理というシンプルな枠組みを用いて表現を試み、その焦点を浮き上がらせようとした。反実在論的意味理論は、「表明原理」によって特徴付けられるが、それは、量化命題論理に「真理主張」演算子と可能性演算子を加えることで表現できる「真理主張可能性の原理」という形で形式化される。この議論の過程で、構成主義的意味理論においてとくに重要な位置を占める未決定言明や決定不能言明の意味に関する知見を得た。2.この種の意味理論の形式的枠組みの候補とみなせる直観主義タイプ理論についての検討を行った。まず、直観主義的タイプ理論が、述語論理や数学の言語にとどまらず、自無言語を含む言語一般に関する構成主義的な意味理論の範型となりうるかどうかはこれまで明らかにされていなかった。そこで、自然言語における実質的推論に焦点を当て、それらをタイプ理論の枠組みに収容する可能性について議論した。その過程で意味理論がもつ形而上学的な関わりについての知見を得た。3.この種の意味理論に親和的な真理に関する照応理論をめぐる考察を行った。この理論は、しばしば収縮主義的な真理論の一種とみなされるが、それは正しくない。収縮主義においては、「A」が真であるのはAのときそしてそのときに限る、という図式が基本的であるとされる。しかしながら照応理論において、この図式は、真理述語の持つ代用文形成の働きに基づいて正当化されうるものである。したがって、ここでは代用文形成という機能にどのような実質的内容を賦与できるかが問われることになる。この問いに対して、構成主義的意味理論の観点から図式の実質的内容を特徴付けられるという見込みが示された。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Annals of the Japan Association for Philosophy of Science Vol.14, No.2
ページ: 41-49
滋賀大学教育学部紀要(II : 人文科学・社会科学) 55
ページ: 27-32
Memoirs of Faculty of Education, Shiga University (II) : The Humanities Social Science No.55
滋賀大学教育学部紀要(II : 人文科学・社会科学) 54
ページ: 33-40
Memoirs of Faculty of Education, Shiga University (II) : The Humanities Social Science No.54