研究成果「クロノロジー」はG.W.ライプニッツの全執筆物の項目について、アカデミー版ライプニッツ全集を基準として、各項目の執筆年月日をもれなくクロノロジカルに配列し、次に各執筆物のタイトルもしくは書簡名、後者についてはその次に発信地名、そしてその収録箇所を示す全集・著作集等の巻数とページ数、さらに、和・英・独・仏・ラテン語等の訳があるときには(筆者の手許にあるものについて)それらの翻訳箇所を附記している。ライプニッツが全生涯中に書いたものすべてが通覧できる年表となっている。 この成果は報告書(様式C-18、別添え冊子)「クロノロジー」が主となるが、さらに本大学(筆者の)HPにそれを掲載予定である(http://www.miyazaki-u.ac.jp/〜e02701u/)。これは原文をPDF化したものであって完壁な検索が可能であるから、多くの研究者が専門的に利用できるはずである。 アカデミー版全集はさらに巻数を増していく。また対照させるべき英訳等をまだ十分には掲載していない。さらに人名の索引・解説は未完成である。今後、HPを定期的に更新してできるだけ豊かで正確なものにしていくことになる。 このクロノロジーの作成には、並行して、ライプニッツの哲学全体(法学・倫理学・政治学、神学・キリスト教史、そして自然科学等)の研究を必要とした。とくに、倫理学についての研究がクロノロジー作成に附随して行われた。筆者は、ライプニッツに深い繋がりを持つと思われる、生命態的自然観の中に組み込まれた人間の完全性についてのギリシア哲学とキリスト教哲学の徳倫理学に関心をもち、トマス・アクィナスの徳論をみごとに現代人に紹介するドイツのJ・ピーパー著、"Das Viergespann(四頭立ての馬車、1964年版。2004年新版)"を、『四枢要徳について』と題して訳出し、別途、出版予定である(知泉書館)。
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