• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

20世紀初頭における日独米の女性運動指導者に見る優生思想と育児観の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520025
研究機関昭和女子大学

研究代表者

掛川 典子  昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (60185858)

キーワード近代女性史 / 優生思想 / 育児観 / 母性保護運動 / 日本:アメリカ合衆国:ドイツ
研究概要

1 「研究の目的 1」として掲げた「20世紀初頭の日本における女性運動の指導者たちに見られる優生思想と育児観の検討」のために、本年度研究実施計画1〜2に対応する研究として、『青鞜』(1911〜1916)とほぼ同時期の女性雑誌『新真婦人』(1913〜1923)における優生思想の紹介記事を分析した。自立する女性向けの雑誌を標榜しながら、男性医学博士等を登場させ、「人種改善学」と訳された欧米の優生思想の紹介に積極的な記事が散見する。1910年代の早い段階で、新マルサス主義を避妊論として受容し、少子良育のための産児制限論に結実する主張の流れが見える。伝染病と遺伝と教育環境の問題との区別が曖昧なまま、女性の側に、配偶者選択に始まる家庭の問題を社会問題と連携させて理解する教養を持つよう呼びかけ、人口政策としての側面よりも、家庭を性病から守り、子どもを非行から遠ざけるための方策として、「質のよい」子どもを産育する庶民の目線の優生思想が肯定された。母性保護論争の担い手たちへの影響を始め、婦人矯風会や新婦人協会等の運動へつながり、やがて国家主義へと絡めとられる、日常生活の中への自主規制的受容の流れを形成する役割の一端を、この雑誌は果たしたといえるであろう。
2 「研究の目的 2」として掲げた「20世紀初頭のドイツとアメリカ合衆国における、進化思想に裏付けられた合理的家事改革論(集合家事論・集合育児論)と母性保護論及び女性運動穏健派の母性論・育児論の分析と比較」のために、本年度研究実施計画3〜6に基き、本年度は集中的に英語・ドイツ語の文献を収集した。特にドイツ語文献は、当時の貴重な文献を多数入手できた。ヘレーネ・シュテッカーの「母性保護同盟」機関紙は、研究補助者を用いてマイクロ・フィッシュからの複写印刷を行った。以前から続行しているマリアンネ・ヴェーバーの著作の翻訳・分析もさらに進めた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 婚姻法の歴史的展開(マリアンネ・ヴェーバー著)(1904)2005

    • 著者名/発表者名
      掛川 典子(翻訳)
    • 雑誌名

      昭和女子大学女性文化研究所紀要 第32号

      ページ: 69-76

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi