研究課題/領域番号 |
16520028
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
金山 萬里子 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10093189)
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研究分担者 |
金山 弥平 名古屋大学, 大学院文学研究科, 教授 (00192542)
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キーワード | 懐疑 / 認識 / 命題論理学 / セクストス・エンペイリコス / アカデメイア派 / ピュロン主義 / ストア派 / エピクロス派 |
研究概要 |
本年度は、本課題の主目的であったセクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁2、論理学者たちへの論駁』の翻訳を完成させ、平成18年8月に京都大学学術出版会より発行することができた。「徴証」、「証明」などの論理学的な諸問題を論じる第8巻が、本年度の中心的な翻訳箇所であったが、翻訳、訳註、および巻末の補註において示されたストア派論理学の緻密な体系は、今後のわが国のヘレニズム哲学研究の貴重な資料となることが期待される。 また解説執筆にあたって、セクストスの時代の思想状況と彼の独自性という問題についても考察を深めることができた。セクストスは、直接あるいは間接の情報源として、明らかに、アイネシデモス(ピュロン主義者)、アンティオコス(アカデメイア)、ポセイドニオス(ストア派)、ピロデモス(エピクロス派)、プルサのアスクレピアデス(医学者)の著作を用いている。彼らはいずれも前1世紀に活躍した人々であり、このことから、前1世紀に隆盛を極めた哲学・学問の輪郭が示されてくる。 また、セクストスはたんなる思想情報の報告を事とする著作家ではなかった。彼の生きた時代は、ペリパトス派においては「注釈家」と呼ばれたアプロディシアスのアレクサンドロスが活躍していた時代でもあり、セクストスの力量も、「あらゆる言論にそれと同等の言論を対置する」という懐疑主義の目的に沿いつつ、取り上げる思想の諸論点を、ある面では受容し、他面では批判するという仕方で解釈し説明していく中で発揮されたとみなしうるのである。
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