研究課題/領域番号 |
16520040
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
中島 志郎 花園大学, 文学部, 教授 (40268123)
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研究分担者 |
衣川 賢次 花園大学, 文学部, 教授 (20161523)
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キーワード | 荷沢神会 / 圭峰宗密 / 『南陽和上頓教解脱禅門直了性壇語』 / 定慧一等 / 敦煌本『六祖壇経』 / 中国中世仏教 / 初期禅宗 / 『神会語録』 |
研究概要 |
本年度は最終年度にあたり、『神会語録』のうち『南陽和上頓教解脱禅門直了性壇語』について、注釈研究の最終的な完成を見た。定例研究会では研究協力者各自の分担研究に応じて、新たな論攷の執筆を依頼した。順次発表の予定である。中島本人の主な研究成果としては、二〇〇六年四月に、訓注本で敦煌本『六祖壇経』(四季社)を刊行した。同書は、神會と思想的な関連が深い敦煌本『六祖壇経』本文に訓注と現代語訳を施したもので、同様の形式で系統的に刊行されている禅語録叢書の一本である。内容的には従来研究の踏襲の性格が強いが、解題には初期禅宗運動の性格として中国中世仏教からの脱却という課題があったという、本人の視点を強調した。また同月二二日には大韓民国海印寺で開催された韓国仏教学結集大会において「神会と宗密-頓悟漸修説をめぐって-」という題で研究発表した。その後十一月二十五日の「禅学研究会学術大会」(花園大学)では、「神会と宗密-思想史的観点の試み-」と題して研究発表し、同論攷は『禅学研究』第八十五号(平成十九年二月刊行pp.69-93)に掲載された。 その内容を概観すると、先ず海印寺発表「神会と宗密」では、宗密との思想的な対比を試みた。就中、頓悟漸修説に見る「悟と修」の問題に焦点をあて、両者の決定的な相違点を整理した。次いで禅学大会の研究発表「神会と宗密-思想史的観点の試み-」では、中国仏教史の上で、禅宗の登場を中国中世の終焉期と規定し、禅宗は中国中世仏教の積極的な革新、克服運動として理解することで、その後の禅宗の特徴は説明できるという結論に至った。また二〇〇七年三月には台湾故宮博物院の特別展を参観し、中国宋代の刊本大蔵経の若干数を実見できた。禅宗文献が筆写本から刊本に移行する最初期の形態として書誌学的に意味のある知見を得た。
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