研究概要 |
1.古ウパニシャッドにおける瞑想 ウパニシャッドについては、従来等閑視されていた『バーシュカラ・マントラ・ウパニシャッド』と『チャーガレーヤ,ウパニシャッド』の読解を進め、両ウパニシャッドは古ウパニシャッドに数えられるものの、擬古的で校訂にも様々な問題があり、両ウパニシャッドは古ウパニシャッドにおける瞑想の問題について、古ウパニシャッド文献とは一線を画すものであることが判明した。 2.原始仏教における禅定 原始仏教における禅定について、四念処を始めとする三十七菩提分法をまとめた『雜阿含』道品の内容がどのように伝承されていったかという系譜を律蔵文献に探り、『根本説一切有部毘奈耶薬事』に『雜阿含』道品の引用が多く見られることを指摘した。この結果、漢訳とパーリ・ニカーヤの対応経典に加えて、サンスクリット文やチベット訳を回収することが可能になり、『雜阿含』,の研究資料が充実したことによって、より精緻に検討を進めることが出来るようになった。 3.大乗経典等の展開における仏伝と禅定 『雜阿含』道品の内容が仏伝に関わり、パーリ『ウダーナ』やチベット訳と漢訳のみ現存する『ブッダ・チャリタ』後半部分等の仏伝資料を精査した。この結果、『雜阿含』道品は仏伝の後半部分、すなわち涅槃経の内容に深く関わる点を解明し、新知見として研究発表を行った。
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