研究課題/領域番号 |
16520044
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉水 千鶴子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (10361297)
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研究分担者 |
佐久間 秀範 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90225839)
小野 基 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (00272120)
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キーワード | インド仏教 / チベット仏教 / 仏教学 / 中観派 / 論理学 / 写本校訂 / 刹那滅論 / プラサンナパダー |
研究概要 |
1.タンサクパ著『中観明句論(プラサンナパダー)註釈』(ウマ・ツィクセル・ギ・ティカ)のチベット語手書き写本の第1章第2部(11〜30フォリオ)を解読し、ローマナイズしたテキストを作成した。必要なパソコン補助機器を購入した。 2.そのテキストを『明句論』のサンスクリット語原典、チベット語訳と対照比較し、異同を調べた。 3.同註釈の範囲で、『明句論』のサンスクリット語原典の議論のうち、研究者の間で解釈が分かれる箇所について、タンサクパの理解に従った場合の解釈はどうであるか、検討した。 4.その結果、当該箇所で『明句論』の著者チャンドラキールティ(7世紀、インド)が批判している対象は、同じ中観派のバーヴィヴェーカ(5世紀、インド)ではなくて、サーンキヤ学派であるという解釈をタンサクパは提示していることが明らかになった。この成果については、研究論文にまとめて来年度に発表する予定である。 5.以上の作業に必要な情報を、一次資料、二次資料から収集した。その際、物品費によって必要な文献図書を購入、また旅費を用いて出張し、諸研究機関において複写した。 6.テキストの入力、校正作業に、謝金を用いて大学院生の協力を得た。 7,中観派によって批判対象となった仏教論理学派の時間論である刹那滅論について、ダルマキールティ(7世紀インド)の学説の形成過程を、その著作『正しい認識根拠の評釈』(プラマーナヴァールティカ)を分析することによって明らかにし、8月にウィーンで開催された第4回国際ダルマキールティ学会において発表した。その際、旅費を用いて出張した。 8.7の成果を研究論文にまとめ、学会プロシーディングスに掲載予定である。
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