研究課題
基盤研究(C)
平成16年度ではその前年に出版したサンスクリット本『マハー・カルマ・ヴィバンガ』テキストを基に、種々の言語にまたがって伝承されたこのテキストの伝承関係を明らかにすることを主たる目的として研究を行った。その結果、サンスクリット本の伝承には少なくとも二つ以上の伝承があり、漢訳やチベット訳にそれぞれの伝承が反映されていることも判明した。特にチベット訳についてはこれまで言われてきた二つ以外にももう一つの伝承が存在したことを今回の研究で明らかにすることができた。平成17年度では北西インドで新たに発見されたサンスクリット写本(スコイエン・コレクション中の数断片)の研究を中心に、諸テキストの校合作業を継続した。新しい写本はサンスクリット本の伝承に二つ以上のものが実際に存在することを証明するものであり、順次発展していくこのテキストの途中にある重要な資料であることを明らかにした。また、この写本以外にもネパールからも新たに写本が存在していることが判明した。それは20世紀初頭に発見された二っの写本の内、より古い方の写本(B写本)の一部とおそらくはそのB写本を直接か或いは極めて近い関係のもとに写した写本とである。更に、20世紀初頭の最初の校訂本が写本そのものではなく、現代に作られた写しを元に作られたことは知られていたが、その研究に使われた写しそのものが発見された。これは最初の校訂出版者の求めに応じてネパール人学者が用意したものであったが、実際の写しを見るとこのネパール人学者がかなりの部分でテキストを読み直している、即ち写本そのものの読みを訂正していることが確認できた。最終年度ではそれまでに収集された資料を総合化する為の様々な研究を行った。中心として行ったことはこの研究期間が始まる以前に知られていた資料のみならず、新たに北西インドとネパールで発見された全てのサンスクリット写本資料を収集することが出来、そしてそれらのデジタルテータを作成し、テキスト相互の校合を行うことで、このサンスクリット本『カルマ・ヴィバンガ』の基礎的資料を充実させることができた。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (14件)
Annual Report of the International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University for the Academic Year 2006 X
ページ: 93-116
Annual Report of The International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University for the Academic Year 2006 vol. X
Annual Report of The International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University for the Academic Year 2005 IX
ページ: 33-42
ページ: 43-60
ページ: 297-300
Annual Report of The International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University for the Academic Year 2005 vol. IX
佛教大学綜合研究所紀要別冊・仏教と自然
ページ: 83-114
印度學佛教學研究 53-2
ページ: 871-866
創価大学・国際仏教学高等研究所・年報 VIII
ページ: 21-45
佛教大学綜合研究所紀要別册・仏教と自然 (Buddhism and Nature (Supplement to the Bulletin of The Research Institute of Bukkyo University), pp. 83-114, 2005.)
印度学佛教学研究 53-2,(Indogaku Bukkyogaku Kenkyu [= Journal of Indian and Buddhist Studies] 53-2, pp. 871-866, 2005.)
創価大学・国際仏教学高等研究・年報』 第8号(2004), (Annual Report of The International Research Institute for Advanced Buddhology at Soka University for the Academic Year 2004, vol. VIII, pp. 21-45, 2005.)