研究課題
本研究は、後期イスラーム神秘主義を、スンナ派とシーア派、および思想と運動という二つの参照軸を用いつつ検討することを課題としている。その初年度にあたる本年度は、東長、鎌田の各々が対象とする思想家について、個別研究を行うことを中心とした。計画どおり、東長がスンナ派、鎌田がシーア派を分担し、各々アブドゥッラー・ボスネヴィー、モッラー・サドラーを中心に研究を行った。具体的には、2004年10、11、12月および2005年3月に会合を行い、研究発表およびコメントを行った(10月および3月に関しては、他経費による出張にあわせて会合を行った)。東長は、ボスネヴィーの生涯と著作に関する基礎的データを収集することに全力を挙げ、次年度に向けての着実な基礎固めを行った。鎌田は、すでにモッラー・サドラーに関する基礎的情報を有しているため、さらに進んで、シーア派とスーフィズムの関係に焦点を当てて研究を遂行した。12月の会合は、中央アジアのスーフィズムに造詣の深いチエリー・ザルコンヌ氏(フランス国立科学研究所)によるスーフィー舞踏に関する研究会と合同する形で行われ、東長・鎌田はともにイブン・アラビー学派研究の視点から、思想的分析についてコメントするとともに討議を行い、本研究の視野を広げることにつながった。本年度の研究の成果の一端は、東長・鎌田がともに執筆に関わった『イスラームの神秘主義と聖者信仰』所収の論文において示されるとともに、東長がパネルの組織に関わり、鎌田が口頭発表を行った第19回国際宗教学宗教史学会議世界大会(2005年3月24-30日)におけるパネル"Sufism : A Perspective for Peace and Coexistence"においても公表された。また、東長は2005年5月にオクスフォードで開催されるMuhyiddin Ibn Arabi Societyの第22回年次大会に発表者として招待されており、本年度の成果を発表する予定である。
すべて 2005 2004
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イスラームの神秘主義と聖者信仰(赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編)(東京大学出版会)
ページ: 95-114
上智アジア学 22(印刷中)
ページ: 115-136
第19回国際宗教学宗教史学会議世界大会(2005年3月24-30日、於高輪プリンスホテル)におけるフルペーパー
ページ: 1-8
The 13th KAMES & The 5^<th> AFMA International Symposium (2004年10月15-17日,於韓国プサン外国語大学)におけるフルペーパー
三笠宮崇仁殿下米寿記念論集(三笠宮崇仁殿下米寿記念論集刊行会編)(刀水書房)
ページ: 243-354