研究課題
基盤研究(C)
本研究は現代の課題である「諸宗教共存」へ向けてこれまでは必ずしも知られていなかったキリスト教の「自己相対化の営み」に、ヨーロッパにおけるキリスト教土着化の同化・異化の観点から、以下の2点を踏まえて光を当てることを試みたものである。1.祝祭・民間習俗の中で用いられている「キリスト図像」を広く収集し、その図像モティーフを解析し、さらにその中で、「神秘思想」と密接に関係する「キリスト図像」を選び出し、そのような「キリスト図像」の指し示す「キリスト理解」を手がかりにして「神秘思想」における「キリスト論」を詳細に検討すること。2.さらに、以上のような作業から浮かび上がるキリスト教の「自己相対化の理論」を「諸宗教共存」という現代的課題へ向けて明確に跡づけすること。以上の点を踏まえて検討した結果、中世ドイツのドミニコ会士、マイスター・エックハルトの「キリスト論」およびヨハネス・タウラーの思想がキリスト教の「自己相対化の営み」の好例と判断することができた。マイスター・エックハルトの「キリスト論」、ヨハネス・タウラーの思想および「ヨハネス・タウラー墓標板(Grabplatte)の図像モティーフ」に関しては研究;期間中に研究成果を公開することができた。また研究最終年度である2006/2007年度は宗教民俗学、図像学領域の調査として、オーストリア、スロヴァキア、オランダにおいて現地調査、資料収集を行うことができた。とくにドイツ神秘思想の研究領域では、ドイツ神秘思想を東西のキリスト教に分裂する以前のキリスト教信仰の根本動機ともいえるテオーシス(人間神化)思想の伝統に位置づける研究をまとめることができた。これらの研究は学会シンポジウム等で発表し、それに基づく意見交換を他の研究者と交わす機会も持つことができた。
すべて 2007 2005 2004
すべて 雑誌論文 (9件) 図書 (1件)
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フイロソフィア(早稲田大学哲学会) 93号
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Japanishe Gesellschaft fuer Germanistik Serie; Nr.035,Development of Mysticism in Germany
soubunsha
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