研究分担者 |
片倉 望 三重大学, 人文学部, 教授 (70194769)
久間 泰賢 三重大学, 人文学部, 助教授 (60324498)
今泉 智之 三重大学, 人文学部, 助教授 (30322978)
佐々木 能章 横浜市立大学, 国際文化学部, 教授 (00144220)
桑原 直巳 筑波大学, 哲学思想学系, 助教授 (20178156)
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研究概要 |
本研究は,社会における名誉と正義の位置づけを指標として,近代と近代以前の社会における価値,また,西洋と東洋における価値について,思想史的な観点から比較研究を行うことを目的としている。 本年度は,研究代表者および分担者の個別研究を積み重ねて,とくに西洋の近代と近代以前についての比較検討に着手することを計画した。 研究代表者および西洋近代・現代を担当する研究分担者の研究により,平等を原則とする近代社会の成立以降は,社会契約論に典型的に見られるように,平等な個人のあいだの契約的な正義が社会的な価値の主役の座を占めるようになったことが明らかにされた。とくに研究代表者は,ホッブズ思想の発展史的研究という観点から,近代的正義の成立の前提となる自然法・自然権概念がホッブズの『リヴァイアサン』において成立した次第を明らかにした。同時に,『リヴァイアサン』以前の初期ホッブズの思想には,中世的な自然権概念やルネサンス期に復興した古典的な共和主義の要素も見られることを指摘した。これをうけて,西洋中世を担当する研究分担者がトマス・アクィナスの中世自然法・自然権論の研究を中心として,キリスト教的な愛の概念との関連において,中世の正義概念の特徴を明らかにした。また,西洋古代を担当する研究分担者がプラトン,アリストテレス研究を中心として,近代の契約的正義とは異なる,古代ギリシアのポリス社会における共同体的価値に基づく正義概念の特徴を明らかにした。
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