研究分担者 |
遠山 敦 三重大学, 人文学部, 教授 (70212066)
今泉 智之 三重大学, 人文学部, 助教授 (30322978)
久間 泰賢 三重大学, 人文学部, 助教授 (60324498)
斉藤 明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80170489)
佐々木 能章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00144220)
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研究概要 |
本研究は,社会における名誉と正義の位置づけを指標として,近代と近代以前の社会における価値,また,西洋と東洋における価値について,思想史的な観点から比較研究を行うことを目的としている。 西洋古代,中世,近現代社会における名誉と正義の位置づけを明らかにするという昨年度の作業をうけて,本年度は,西洋思想については,とくに名誉論という観点から,古代,中世,近代以降の相互比較を引き続き行うとともに,東洋思想における名誉と正義の位置づけを明らかにする作業に着手することを計画した。 西洋思想についての検討という面では,古代のアリストテレスが,名誉を徳にともなうものとして捉えていたこと,中世においては,名誉が社会的地位にともなうものとして理解されたこと,ルネサンス期以降,名誉がいわば世俗化され,とくにホッブズにおいては,世俗化された名誉のうちに虚栄心というネガティヴな要素の存在が指摘され,名誉論が正義論の内部へと取り込まれていくことを明らかにした。 東洋思想についての検討という面では,中国思想からは,仁と礼を実現した君主の徳性に基づいて徳治主義による社会秩序の回復を目指した孔子の政治思想,性善説に基づく孟子の政治思想,性悪説に基づく荀子の政治思想など,日本思想からは,礼楽刑政により天下の調和的発展を実現することを目指した荻生徂徠の思想などを取り上げ,これらを社会正義の実現に関する思想という観点から分析し,西洋思想における正義との比較検討を行う準備を整えた。
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