研究分担者 |
小川 眞里子 三重大学, 人文学部, 教授 (00185513)
片倉 望 三重大学, 人文学部, 教授 (70194769)
今泉 智之 三重大学, 人文学部, 助教授 (30322978)
斉藤 明 東京大学, 大学院人文社会研究科, 教授 (80170489)
佐々木 能章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00144220)
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研究概要 |
本研究は,社会における名誉と正義の位置づけを指標として,近代と近代以前の社会における価値,また,西洋と東洋における価値について,思想史的な観点から比較研究を行うことを目的としている。 西洋思想における名誉と正義の概念をめぐる16年度の考察,東洋思想における名誉と正義の概念をめぐる17年度の考察を踏まえて,18年度は,それぞれの考察をさらに深化させるとともに,西洋思想と東洋思想の比較検討を行うことを目指した。 古代中国においては,「人倫」に明らかなる者のみが王者になる資格をもつという思想を孟子が展開していること,また,道家においても,倫理的,道徳的にもっとも優れた人間のみが天下を治めることができると考えられていたことが明らかにされ,社会的身分の上下を前提とした,プラトンの正義論と古代中国政治思想との意外な平行関係が確認された。 古代インドの仏教思想においては,「法dharma」の概念が,世俗共同体の秩序を守るための規範としての正義の側面をもつことが明らかにされ,「正義justice」という西洋思想の概念が,仏法と世俗共同体の秩序の関係という問題を分析する一つの視座を提供することが確認された。 日本思想については,名誉の問題を,近世における,武士の名の追求と主従関係という観点から分析し,とくに武家思想を代表する『葉隠』においては,一個の武士としての名の追求と,主君への没我的献身という矛盾するかに見える二つの要素が,前者が後者にほとんど包摂されるという仕方で関係付けられていることが明らかにされた。
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