研究課題
基盤研究(C)
本研究では、まず、考察を始めるための前段階として、研究対象としての「おみくじ」、その諸相について概観し、特に一般にはほとんど知られていない元三大師御籖本という史料の存在を様々な角度から明らかにすることに重点を置き、その元三大師御籖本にも多種多様なものがあり、それら史料群が思想史的研究の上でも、文化史研究の上でも、きわめて興味深い存在であることを認識した。また、元三大師御籖本のみならず、所謂「おみくじ」に関する先行研究に関して、細大洩らさぬよう摘出し、これらを体系的に整理してみた。そして、この過程において、必然的に、先行研究において既に明らかにされていること、これとは反対に明らかになっていないことを把握することができた。つづいて、多種多様な元三大師御籖本を二通りの視点から類別することを試みた。一つは時系列に基づくものであり、いま一つは元三大師御籖本に記されている注解に基づくものである。ここで最も重要視したのが、元三大師御籖本に記されている注解の部分である。この部分を系列ごとに比較することにより、元三大師御籖本の思想史的展開が顕著に表われていることを見出すに至った。また、信仰対象に関して記された部分、中でも、信仰対象としての「天道」に注目し、特にひとつの系統の元三大師御籖本に至って頻繁に説かれるようになった倫理的処世訓と現世的願望の関係、さらにはそこに説かれた「運勢転換の思想」に論及するとともに、その思想史的意義と現代への示唆についても検討した。そして、元三大師御籖本の受容層に関する一つの仮説の提示を試みた。元三大師御籖は、武家に由来したと考えられ、実は、このことは「天道」への信仰とも符号することであった。
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國文學-解釈と教材の研究-(學燈社) 第52巻3号
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中國哲學(北海道中國哲學会) 第35号
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Japanese literature -Interpretation and the study of teaching materials -(GAKUTOUSYA) Vol. 52, No. 3
Chinese Philosophy (The Hokkaido Association of Chinese Philosophy) Vol. 35