研究課題
本年度も、引き続き、デュフレノワの『絵画の芸術について』の詳解を、欧米で最近出された新たな画期的研究成果を参照しつつ継続した。と同時に、やはり『絵画の芸術について』に付けられたド・ピールの註を、とりわけド・ピールの主著、『絵画原理講義』(1708年)と比較し、それが色彩派的な議論、さらには純粋視覚性にも通ずる議論へと、どのように移行したのかを見た。特に、『絵画原理講義』の構想、衣装、デッサン、色彩、明暗法(なかんずくTout-ensembleに関するほとんど形而上学的とも言える原理的な記述が重要である)の部分を深く掘り下げることで、古典主義的絵画理論が、けっして教条主義的なものではないこと、広い意味でバロック的、さらにはほとんど近代的とも言える潜在的可能性を含んでいることが明らかになった。つまり古典主義から近代主義へは、けっして直線的、排他的に移行したわけではないということである。と同時に、フランス古典主義絵画理論のイギリスへの受容も、昨年度同様継続した。特にイギリス・アカデミー初代会長、レノルズによる『美術講義』(1769-90年)との関連を探った。また本年度は、パリ・ソルボンヌ大学で近代美術史を教えるマケタ・タインハルト助教授から、近世フランス絵画理論と装飾、主題の道徳性に関して、多くのアドヴァイス、レヴューを身近に受けることができた。その結果、古典主義的な絵画理論の様々な射程をいっそう示すことが可能になったと考える。
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デザインのオントロギー-倫理学と美学の交響(山田忠彰, 小田部胤久)(ナカニシヤ出版)
ページ: 136-168
教養学部報 492
ページ: 7
芸術文化 12(印刷中)
landscape network 901*編『ランドスケープ批評宣言-風景とデザインのあいだ〔増補改訂版〕』 (INAX出版)
ページ: 248-251
芸術文化 11
ページ: 33-44
ページ: 101-108