1)国内に所蔵されている十九世紀の主要な音楽雑誌の調査(特にAllgemeine Musikalische ZeitungおよびNeue Zeitschrift fur Musik)。この雑誌記事の調査においては特に、これらの雑誌に掲載されている膨大な数のRezension(演奏会評、新刊の教本や練習曲や作品の紹介)において、「演奏技術」の問題がいかに論じられているかを分析した。 2)十九世紀においては膨大な数のピアノ教本や練習曲が出版されたが、それらの大半は言うまでもなく現在では絶版になっている。従って海外での資料調査が不可欠であった。こうしたピアノ教本や練習曲の大半は、音楽出版が盛んだったロンドン・パリ・ベルリン・ライプチッヒ・ウィーンで出版されていたものと思われるが、平成16年度はロンドン(ブリティッシュ・ライブラリー)およびパリ(国立図書館音楽部)での調査を主に行った。 3)十九世紀の音楽雑誌の大半は、日本では所蔵している図書館がないものばかりである。上の海外調査においては、併せて、こうした音楽雑誌の調査も行った。とりわけRevue et Gazette musicale de Paris、Le piano、L'Art musical、La France musicale(以上パリで発行)およびRecord of the musical union、Etude、The musical world(以上ロンドンで発行)の調査からは様々な情報を得られた。
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