研究課題/領域番号 |
16520083
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
仲町 啓子 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 教授 (80141125)
|
研究分担者 |
宮崎 法子 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 教授 (20135601)
|
キーワード | 唐美人 / 仕女図 / 仇英 / 探幽縮図 / 楊貴妃図 / 東アジアの女性像 / 蘇州片 / 狩野派模本 |
研究概要 |
本研究は、当初16世紀から19世紀半ばに至る中国や日本で多数制作された女性像、いわゆる唐美人図・仕女図という視覚的イメージの実態を把握し、それらの歴史的な役割や社会的な機能を考察することを目指していた。しかしながら、研究を進めて行く課程で、必ずしも上記の時期に限ることなく、それを遡る時期の作品や文献についても把握する必要があることを痛感するに至った。そこで日本については、中国文化の傘下で絵画活動が始まった7世紀後半より19世紀半ばまでの資料(女性像として単独に表されたものに限らず、絵巻や仏画などの中に描かれた女性像も含めて)を収集し、それらを、画題(あるいは主題)、制作時期、制作者、享受者、画面形式、制作目的、描写技法や様式、制作や享受の具体的な場所、あるいは図像的な典拠を含めた中国画との関係、などのファクターで分析し、日本における唐美人図と唐美人モチーフの歴史的な意味づけを明らかにするよう努めた。中国の女性像についても、より広く時代を設定し、各時代の女性表現の特色を、造形的に分析するだけでなく、上に日本関係で示したような複数のファクターから総合的な視点で捉え直すように努めた。その結果、単に唐美人や中国の女性像の問題だけに止まることなく、歴史的社会における視覚的なイメージの分析に関しても、より広範な問題提起ができたように思われる。なお報告書では、収集資料をデジタル画像化するとともに、テーマごとに分類整理し、画像データベースとして示すつもりである。また同時に、いくつかのサブテーマ(たとえば、玄宗・楊貴妃図の展開、室町時代禅宗界における唐美人図、「探幽縮図」の中の中国女性像、維摩居士像と女性像など)に関する文献資料なども提示し、それについての考察も掲載する予定で、目下最後の仕上げに向かって努力している。
|