初年度である平成16年度は特に、(I)現地調査の準備・実施と、(II)この調査において入手した各種資料の整理・データベース化に従事した。 (I)の現地調査(8月21日〜9月13日)は、(1)画像データ制作と、(2)研究所・古文書館・図書館での資料蒐集の2つからなる。 (1)の画像データ制作では、フィデンツァ大聖堂の他に、パルマ洗礼堂、クレモナ大聖堂、ピアチェンツァ大聖堂の外壁や内部にある彫刻装飾を一眼レフ・デジタルカメラで撮影した。細かい部分図像を含めて総計約1500点の画像データを制作した。 (2)の資料蒐集では、ドイツ美術史研究所(フィレンツェ)、バチカン図書館(ローマ)、パルマ国立古文書館(パルマ)が重要な蒐集場所で、殆どの資料をコピーで入手した。さらに現地の専門書店では、学術書籍・資料を購入した。これらの資料には、上記モニュメントに関する文献の他に、さらに、ダヴィデ、エゼキエルを中心とした預言者図像、そして中世後期の聖人奇蹟譚図像に関連した文献も含まれる。 なお現地調査ではさらに、同様の研究を進めているG.Tiglerフィレンツェ大学教授とG.Valenzanoパドヴァ大学教授、そしてイタリア中世後期美術史学の重鎮であるE.Castelnuovoピサ高等研究院名誉教授とA.Peroniフィレンツェ大学名誉教授と、意見交換を行った。これらの研究者とは、帰国後もインターネットを通じて議論を重ねている。 (II)の資料の整理・データベース化も、(1)の画像データと(2)の資料の2つに分かれる。 (1)の画像データは現在、各々に詳細なタイトルを付けて、Photo Shop形式で保存し、CD-Romに焼き付ける作業を進めている(全体の4分の3ほど終了)。 (2)の資料は、読解・整理を経て、ソフト「End-Note-Plus」を用いてデータ入力をするという作業進めた。
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