当該研究3年目となる本年度は、(1)フィデンツァ大聖堂に関する研究書のイタリアでの出版、(2)現地研究者との意見交換、そして(3)画像データの解析に主に従事した。 とりわけ重要なのは(1)である。ピサ高等研究院に受理された学位論文に大幅な改変を加えて出版に至った。改変においては、この3年間に実施した現地調査、古文書調査、そして現地研究者との協議が不可欠であった。こうした調査・研究の加えて、出版前の初稿、再校の校正のためにも、本年度は海外調査費に比重が置かれることとなった。 (2)に関しては、昨年同様、G.Tiglerフィレンツェ大学教授およびG.Valenzanoパドヴァ大学教授と意見交換を行った。また、(1)の研究書出版に際して、学位論文主査のE.Castelnuovoピサ高等研究院名誉教授、副査のA.peroniフィレンツェ大学名誉教授、そして出版元のピサ高等研究院学長S.Settis教授より、多くの指導、助言、指摘をいただいた。 (3)については、特に北イタリア・ロマネスク聖堂中央扉口彫刻の配置と図像との関係に着目して、画像解析を進めた。
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