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2007 年度 実績報告書

アリストテレース『詩学』と『弁論術』の比較に基づく新たな芸術存在論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16520085
研究機関成城大学

研究代表者

津上 英輔  成城大学, 文芸学部, 教授 (80197657)

キーワードアリストテレース / 詩学 / 弁論術 / hybris
研究概要

芸術世界と現実世界の存在論的関係に光を当て,最終的には,芸術という営みが我々の現実の生にとっていかなる意味をもつかについて,ひとつの理解を得るというもくろみのもとに,アリストテレース『詩学』において提示された「蓋然的ないし必然的な」できごと連鎖の存在論的分際を,『弁論術』における「エンテユーメーマ(蓋然的推論)」の論を参照しつつ解明するのが,本研究の目的であった.
4年間の研究で,悲劇,ひいては芸術が弁論と並行関係にあり,芸術作品が弁論におけるエンテユーメーマの位置にあるものとして,世界を蓋然的に提示するという働きをなすと言えることが,ほぼ明らかになった.
平成19年度の研究では,この問題圏の中で浮かび上がってきた"hybris"の問題に焦点を絞った.すなわち,『弁論術』第2巻第2章に出現するhybrisを,従来の解釈では「侮辱」ないし「暴行」ととらえていたが,この解釈では,この箇所に何度か出現するhybrisの語を文脈に応じて幾通りにも訳し分けないと意味が通らないという難点をもつ.そこで本研究を通じて私が到達した理解は,これを「傲慢」とすることである.この二つの理解の争点は,つまるところhybrisに悪意があるかどうかである.これには,1378b25のautoi/hautoiの読みの問題もかかわる.ここではこれ以上の詳細に立ち入ることを控えるが,これまでの研究で,一本の筋で通せる見通しが立ったので,早急に論文発表する所存である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 感性的認識の完成:バウムガルテン『美学』における美の説明2008

    • 著者名/発表者名
      津上 英輔
    • 雑誌名

      成城美学美術史 14

      ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [学会発表] 感性的営為としての旅:観光美学の構築に向けて2007

    • 著者名/発表者名
      津上 英輔
    • 学会等名
      美学会全国大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2007-10-07
  • [学会発表] Sense Perception for the sake of Sense Perception:Toward Aesthetics of Tourism2007

    • 著者名/発表者名
      TSUGAMI Eske
    • 学会等名
      International Congress of Aesthetics
    • 発表場所
      アンカラ,中東工科大学
    • 年月日
      2007-07-10
  • [学会発表] "Music" did not Exist in Japan before the Advent of Western Culture2007

    • 著者名/発表者名
      TSUGAMI Eske
    • 学会等名
      Music Research Forum
    • 発表場所
      ロンドン,ゴールドスミス・カレツジ
    • 年月日
      2007-05-01

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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