本年度は、ヨーロッパの15世紀から18世紀にかけての女性裸体素描の実例を新たに相当数収集することができた。また、同時期のヨーロッパ各国の美術アカデミーにおける女性モデルの導入についての研究状況を確認し、その具体的な状況についての基礎的な文献を収集することができた。さらに、裸体素描の理念に関して、美術教育や美術理論に関する文献収集に取り掛かることができた。国内で行われた上記の調査研究を補強するためにニューヨークに出張し、メトロポリタン美術館付属研究資料図書館にて集中的に調査を行い、最新の研究動向の把握やさまざまな調査事項の確認を効率的に行うことができた。同時に同美術館で開催された大規模な「ルーベンス素描展」を観覧し、あわせて刊行された浩瀚な展覧会図録の成果を吸収しつつ展覧会を精査することができ、本研究の遂行にも少なからぬ刺激を得ることができた。
|