本研究に関する平成16年度の具体的な課題は、研究計画書に記載の通り、1)マリピエロの返信の所在調査、2)チーニ財団マリピエロ文庫の継続調査、3)雑誌『シナリオScenario』掲載記事の収集、4)プルニエールの書簡の検討、であった。 1)マリピエロの返信の所在調査に関しては、返信の宛名人であるヘンリー・プルニエール氏の子息ルネ・プルニエール氏を探し当てることに成功した。2005年2月2日、パリ近郊のショーモンテルに氏を訪問し、通訳を交えてインタビューを行い、資料(返信のリストと要点の抜き書き)の提供を受けることができた。しかし遍信そのものは氏の手許に残っておらず、イタリア各地の図書館等に散逸しているのではないかとの理解を示されたのみで、今後の調査に大きな課題を残した。 2)チーニ財団マリピエロ文庫の継続調査を、2005年3月9日から14日にかけて行い、マリピエロとドイツの音楽学者H.Fレートリッヒとの往復書簡を調査することができた。 3)雑誌『シナリオ』に掲載された関連の記事の収集を、2005年3月のイタリア訪問時にローマ国立図書館およびミラノ国立図書館で行って完了することができた。 4)プルニエールの書簡の検討は、手書き部分の解読が難航したので、協力者を求めたところ、フランス人の筆跡解読研究者の協力を得ることができた。おおよそ半数まで解読が進んでいる。 以上のように、4つの課題についてそれぞれ成果を上げることができた。
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