本研究は19世紀以来大きな潮流となった古楽の復興(early music revival)について、C.モンテヴェルディ(1567〜1642)の事例研究によって新たな光を当てようとするもので、最初のモンテヴェルディ全集(1926〜1942)の編纂者G.F.マリピエロ(1882〜1973)に注目し、書簡および楽譜史料に基づいて実証的に解明しようとするものである。 今年度の課題は、1)マリピエロのプルニエール宛書簡の収集、2)マリピエロ版全集の問題点の検討、3)ダヌンツィオとの往復書簡の検討、の3点であった。計画に沿って順調に研究が進んできた過去2年間に対して、今年度は勤務先が「特色ある大学教育プログラム(特色GP)」の採択を受け、その事業推進責任者であったため研究時間の圧縮を余儀なくされているのが実情である。 上記の3つの課題の内、順調に進んでいるのは、2)の「マリピエロ版全集の問題点の検討」である。新全集(クレモナのモンテヴェルディ財団編、未完結)およびA.ボルンシュタイン編のマドリガーレ全集との比較によって、5声マドリガーレ集から順次検討を進めている。1)の「マリピエロのプルニエール宛書簡の収集」については、第二次世界大戦の混乱という背景から困難を極め、残念ながらまだめぼしい成果が上がっていない。3)の「ダヌンツィオとの往復書簡の検討」については、予定より大幅に遅れているので、2006年9月からのサバティカル・イヤーで集中的に進めたいと考えている。
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