初年である16年度は、まず、基礎的な文献の整備を行った。あつかう対象として予定している1922〜1951年のうち、1923年から1943年の範囲については、基本となる『文芸年鑑』の復刻版を入手し、各年度の発行雑誌のデータベース造りのための項目の検討を行った。データベースは、編集関係者、発行地、刊行時期、ジャンルに関する検索を行えるようにすることを目的とするものである。また、雑誌分類のための独自の分類項目を数千冊に及ぶサンプル調査を通してほぼ確定した。次に、作業のためのノートパソコン、プリンターを購入し、作業補助者を使って一部、基礎データの打ち込みを開始した。また、米軍の日本占領期の検閲雑誌のコレクションとして知られブランゲ文庫のデータベースの公開が進んでいることから、これを通して国立国会図書館に未収蔵の資料のデータを取り始めている。さらに、これと平行して、個人的に収集してきた20000万冊の雑誌データの整備をすすめた。主戦直後の雑誌については、『展望戦後雑誌』(紅野敏郎ほか著、昭和52年刊)に収録の342種のうち、317種類までの実物確認を済ませている。なお、日本近代文学館にて8月25日に資料の取り扱いに関する講義を行い、また、これと平行して同館の図書資料委員会に出席して戦後雑誌「世代」に関する重要な情報を得ることができた。なお、地方文学館の資料収蔵状況の調査については、芦屋市の谷崎潤一郎記念館におもむき、所蔵資料目録を入手して検討を行った。
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