3年目の最終年にあたる18年度は、これまで平行してすすめてきた3種類のデータベースの入力作業を当初の計画に近い形で終了した。個人的に収集してきた20000万冊余の文学関係雑誌、「文芸年鑑」の大正12年版から昭和24年版まで、「出版年鑑」の昭和5年から昭和14年までの範囲がそれである。それぞれについて、タイトル、ジャンル、発行所、発行地、編集者、刊行期間、同人、機関所蔵(国会図書館、日本近代文学館等の収蔵状況)などの項目を設定し、研究補助者3名の協力のもとにデータ入力を行った。フォーマットの作成については、専門家の助言を仰いだ。研究の進展にさまざまな形で寄与しうる検索システムを構築するまでに試行錯誤を繰り返したが、ようやく項目別に有効な検索を行うことのできる形態を実現することができた。個々の執筆者の活動や出版文化の具体を知る上で、有効に活用することができるものと確信する。これらはそれぞれ細目の一覧をプリントアウトして最終的な報告書にまとめるべく、現在とりまとめ中である。なお、今年度も昨年に引き続き、日本近代文学館にて8月24日に資料の取り扱いに関する講義を行い、館の関係者と雑誌データの取り扱い等について情報を交換した。また、6月に金沢市に出張し、石川近代文学館、泉鏡花記念館、徳田秋声記念館、金沢大学関係者と情報を交換し、青森県近代文学館とも収蔵資料に関する懇談を行った。国会図書館等の収蔵状況が思わしくない、疎開期に地方で刊行された文学雑誌に関して、有益な情報を得ることができた。
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