研究課題/領域番号 |
16520097
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
平野 由紀子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60114922)
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研究分担者 |
和田 英信 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (20231037)
伊藤 美重子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (40251871)
丁 莉 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (00345414)
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キーワード | 大江千里 / 句題和歌 / 千里集 / 注釈書 / 高松宮家蔵本 / 赤人集 / 和漢 |
研究概要 |
『句題和歌』は儒者大江千里の手になるもので、漢詩のいわば翻訳に当たる作品であるが、『千里集』という私家集として伝わる。私家集研究が近年活況を呈する中、『千里集』には全注釈はいまだない。本研究は『句題和歌』を対象として、輪読会などにおいてこれまで積み重ねてきたものに更に加わる形で全注釈を完成させた。さらに、完成させた注釈をもう一度全体から見直し、細かいところまで手をいれる作業をし、原稿をある程度統一した。これまで善本とされた書陵部本のみでなく、伝寂蓮筆本や近年複製が刊行された旧高松宮家蔵本、この三つの本文を対校し比較検討する、さらに西本願寺本三十六人集のうちの赤人集への混入部分(赤人のものと誤られたが、実は『千里集』であった)を重要な手がかりにし、最も純粋な原態に近い本文の再建を試みた。それを土台にし注釈を行っていったところは極めて有意義な作業で、今後書物となる際も大きな特色となろう。現在は統一化された原稿の細部について再検討を行う作業をしており、書物としての刊行にむけて最終調整を行い準備をしている段階である。 当初は注釈完成後中国語に翻訳をし、中国に紹介することまで計画していたが、科研費補助金交付期間の二年間ではそこまで実施するのは無理であることが判明した。むしろ注釈の点検などの刊行準備作業を集中的に行い、来年度は確実に注釈書として世に出すと考えている。
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