研究課題/領域番号 |
16520097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
平野 由紀子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60114922)
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研究分担者 |
和田 英信 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (20231037)
伊藤 美重子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (40251871)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 大江千里 / 句題和歌 / 千里集 / 冷泉家本 / 高松宮家本 / 赤人集 / 和漢 / 三十六人集 |
研究概要 |
1 『句題和歌』は儒者大江千里の手になるもので、漢詩のいわば翻訳にあたる作品であるが、『千里集』という私家集として伝わる。私家集研究が近年活況を呈する中、『千里集』にはいまだ全注釈は施されていない。 2 『句題和歌』は、漢文序によれば宇多天皇の命によって寛平6年(894年)に千里が撰進したものである。漢詩の一句のあと和歌が一首ある、というかたちをとる。それに述懐の歌を加え120首としたと序にはある。句題は白楽天の詩から74で最も多く、ついで多いのは元慎の詩からである。 3 はやく平安時代の中期に成立した『赤人集』には、誰の作品か不明なものとして浮遊していた『千里集』が混入している。その部分は題としての漢詩句が除かれ、和歌の集合体のかたちをなしたものだった。すなわち『千里集』の原形を探る上に、西本願寺本赤人集が重要な役割を果たすのであって、これを資料として用いた。 4 当初は注釈完成後、中国語に翻訳し、中国に紹介するところまで計画していたが、科研費補助金交付期間の二年間で、そこまで実施するのは無理であることが判明した。むしろ注釈の完成を目指した。 5 これまで積み重ねてきた注釈の細部について再検討し、出典も出来る限り明らかにし、平成18年10月に書物として(風間書房私家集全釈叢書)刊行する運びとなった。解説には(1)千里集の伝本、(2)赤人集に混入した千里集、(3)どのような漢詩から題をとったか、(4)詩句と和歌の関係などを示した。作品の各部分を「句題」「語釈」「訳」「句題原拠詩」「補説」の項目ごとに説明した史上初めての注釈である。 6 当初の三つの写本に加え、平成17年12月に冷泉家の写本が複製され、それまでの残欠本の全容が判明した。この五つの写本を対照して研究者に供する報告書とした。
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