研究期間中に、日本古典偽書叢刊第一巻および第二巻を刊行した。 第三巻はすでに刊行済みであったので、これで全三巻が完結し、計20作品を紹介することができた。 このうち、研究代表者自身が校訂、註釈にあたらなかった『兼好法師諸国物語』および『清少納言松島日記』について、追加研究を進め、それぞれ講演および研究発表を行い、後者について論文化した。 偽書叢刊に収録できなかった『紫日記』『四季物語』について研究を進め、後者については科学研究費報告書に釈文を掲載した。 こうした検討の結果、近世偽書の作成者として、連歌師、俳諧師の存在が浮かび上がった。 中国における偽書との比較研究を行った。マレーシア南方学院華人族与文化研究所所長の鄭良樹博士を日本に迎えて研究者と意見交換を行い、また北京大学、北京師範大学、中国国家博物館を歴訪して、中国の研究者との意見交換を行った。その成果の一部はおなじく科学研究費報告書に掲載した。
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