本年度の調査研究は、昨年度に引き続き、次の四つを中心とした。 (1)仏光寺『御日記』から、香川景樹と桂園派関係記事を抄出して、景樹の「歌日記」(『桂園遺稿』上巻・下巻)ほかの景樹関係資料の記事・記述と比較対照する。 (2)仏光寺『御日記』の既刊分11冊から、固有名詞ほかの事項を抄出し、索引を作成する。 (3)景樹の「歌日記」から、固有名詞ほかの事項を抄出し、索引を作成する。 (4)洛東遺芳館所蔵の近世文書を調査し、本山仏光寺、とりわけ景樹と柏原家とを仲介した本山仏光寺御堂衆の恵岳と柏原家との関係を明らかにする。 (1)は現在第文政十三年まで終了し、そのうち文政元年から同五年までを紹介した。これによって景樹の伝記にいくつかの新事実を加えることができた。 (2)は、平成17年までに刊行された12冊について事項の収集を終え、そのうち8冊分の索引を作成した。(1)(2)の作業は、『御日記』から本山仏光寺と柏原家・柏屋との関係を示す記事を探し出すことを目的の一つとしているが、現在のところ未だ見いだせていない。 (3)は索引作成のため、昨年度抄出した固有名詞等の事項の漏れを点検中である。 (4)は、「要用控」についての調査を継続中である。現時点では、本山仏光寺・恵岳についての記事は見いだし得ていない。 なお、三井文庫所蔵資料の内に仏光寺と三井北家との関係を示す文書を見いだした。三井北家は柏原家と密接な婚姻関係を有しているので、本山仏光寺と柏原家との関係をさぐる手がかりの一つになると思われる。
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