研究課題
本研究は、大正から昭和にかけて特色ある文学関係書物を刊行した出版書肆・金星堂に焦点をあて、その出版活動の全貌を明らかにするとともに、同時代の文学活動を出版メディアとの関連において新たな視点から解明しようとするものである。研究初年度にあたる今年度は、まず金星堂の出版活動の全体像を把握するために不可欠な出版書目調査を実施。研究代表者宗像和重、研究分担者十重田裕一(ともに早稲田大学)に加え、研究協力者として加藤邦彦(山口県立大学)、山本亮介(早稲田大学非常勤講師)が参加して作業に従事した。具体的には、それぞれが分担して各図書館の目録・所蔵調査や古書店等の在庫調査にあたり、図書館としては、早稲田大学図書館、国立国会図書館、九州大学附属図書館、東京都立図書館、日本近代文学館、神奈川県立近代文学館等の目録や蔵書を確認。その上で、幾度かの調査報告および討議を重ね、連絡用のホームページに出版書目のデータベースを構築している。この作業は来年度以降も継続し、完成後には公開の予定であるが、これまでの蓄積からだけでも、(1)創業者福岡益雄自身の積極的な編集への関与、(2)叢書・全集・シリーズ物の活発な出版、(3)チェーホフやアンドレ・ジイドなど外国文学書目の旺盛な翻訳刊行、(4)小説・散文のほか、詩歌関係書目の充実、(5)文学のみならず、とくに美術や精神文化関係の出版書目の多様さ、(6)横光利一・諏訪三郎らいわゆる新感覚派、モダニズムの作家とともに、田山花袋・徳田秋声ら自然主義作家とのつながりの深さ、等々の興味深い事実が明らかになりつつある。来年度は、これらの調査を継続・充実させるとともに、これらの出版活動と同時代の文学との関連へと考察を進め、さらに他の特色ある出版書肆の活動についても視野に入れながら、研究を継続する予定である。
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表現と文体-日本語の姿を探る(中村明, 野村雅昭, 佐久間まゆみ, 小宮千鶴子編)(明治書院) (3月末予定)(印刷中につき未確認)
文学(岩波書店) 第5巻第6号
ページ: 48-62
國文學(学燈社) 第49巻第10号
ページ: 120-126
21世紀中国における日本語教育研究(吉林人民出版社)
ページ: 251-264
純粋映画記(北川冬彦)(ゆまに書房)
ページ: 1-11