研究課題
基盤研究(C)
本研究は、出版書肆金星堂を中心として、大正・昭和期の出版と文学の動向を総合的に把握しようとする試みである。福岡益雄が大正半ばに設立したこの出版社は、大正期の特色ある叢書類や、雑誌「文藝時代」の発行などを通して、同時代の文学や作家と深いかかわりをもった。その実態を把握するために、まず金星堂の出版物についての基礎的データを蓄積し、図書館や古書店等を通して調査と収集の作業に従事した。そして、その書誌データを集約して、「金星堂出版物目録データベース」を作成した。もとより未定稿の状態で、今後引き続き増補訂正を必要とするが、金星堂の出版活動の輪郭を明らかにし、今後研究を継続するための基礎資料としての意味を有すると考える。またこれと並行して、創業者の福岡益雄と金星堂の出版活動に関する同時代の消息や評価等を、できるだけ収集することに務めた。出版物のデータベースとあわせて、金星堂の足跡を総合的・多角的に検討する新しい材料を発掘することで、その実態をより明らかにすることができた。こうした調査の集約の一方で、金星堂や大正・昭和期の出版と文学をめぐる論考を積極的に発表することに務めた。とくに大正から昭和期にかけての「文壇」と文芸時評をめぐる諸問題や、横光利一らのいわゆる新感覚派と金星堂を中心とするメディアの問題については大きな収穫があり、このテーマの有効性を再認識させられた。今後は、未定稿の書誌データベースを充実させるとともに、金星堂社史・福岡益雄伝をとりまとめることで、金星堂と同時代の文学・作家との関係をより明らかにする一方、同時代の出版社・出版人へと調査・研究を広げていくことが、重要な課題であると考えている。
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すべて 雑誌論文 (12件)
文藝時評大系 大正篇 別巻(ゆまに書房)
ページ: 5-20
国語と国文学(東京大学国語国文学会) 84巻4号
ページ: 1-15
松本清張研究(松本清張記念館) 8号(印刷中)
"A sentence art comment on current events outline Taisho era" supplementary volume(Yumani Publication)
National language and Japanese literature(Tokyo University national language Japanese literature society) 4th Vol. 84
Seicho Matsumoto study 8th, Seicho Matsumoto memorial hal1
国文学研究(早稲田大学国文学会) 148号
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日本文化の連続性と非連続性 1920年-1970年(勉誠出版)
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Consecutiveness and non-consecutiveness from 1920 to 1970 of Japanese culture(Bensei publication)
Japanese literature research(Waseda University Japanese literature society) 148th
21世紀中国における日本語教育研究(吉林人民出版社)
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A Japanese education study in the 21st century China(Jilin people as publishing company)