まず本研究の意義や目標について研究代表者(山本)・研究分担者(高橋)を中心に研究協力者(菊池・長谷)などで十分な討論、および確認、意思統一を図った。また、主たる研究場所のひとつである国文学研究資料館の大高洋司氏代表の「近世後期小説プロジェクト」人的な重なりがあるので、そのテーマにおける切り分けに意を用い、こちらの共同研究の性格を明確化して、役割分担および整合性を十分になしえるように緊密な協議をした。 その上で、山本(研究代表者)は、大量のマイクロ資料を所蔵する国文学研究資料館を中心に、国立国会図書館に赴き、それぞれの実録写本のデータ採取に取りかかった。その作業の進捗状況は、総量のうち約2割強のデータを集積し得たものと推測している。また、人文情報の専門家である関西大学文学部本村助教授(研究協力者)と共に、WEB上での公開を目標とする「実録体小説データベース」の大枠作成を終えて、具体的な入力フォーマットを作成した。このフォーマットは、データの入力段階においてすでにWeb上での公開を前提としたプログラムである。公開へ向けてスムースな展開が可能となった。このフォーマットは現在、関西大学本村研究室から「実録体小説データーベース」と仮称してWEB上に、実在させている。 高橋(研究分担者)は、共同研究企画者として、全体的な計画の執行にも目配りしつつ、国文学研究資料館のマイクロデータを中心に、国立公文書館所蔵の実録写本原本の確認・データ収集に取りかかった。いずれの所蔵先においても、書名だけでは、実録体小説なのか判断の出来ない物が多く、確認のための出納と内容確認に時日を要しているが、精励した結果、総量のうち3割に近いデータを調査・集積するに至ったものと想定する。 研究協力者の菊池は国文学研究資料館、同じく長谷は関西大学図書館のデータ蒐集の作業に取りかかった。
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