平成16年度は、入手してある大韓帝国期の『日語讀本』(全8巻、光武11〜隆煕2)、『普通學校學徒用日語讀本』(全8巻、光武11〜隆煕2)、朝鮮教科書I期の『國語讀本』(全8巻大1〜大4)、II期の発行となる『普通學校國語讀本』(全8巻、大12〜13)について、平成16年度調査によって入手した『普通學校用假名遣法・普通學校用送假名法』(総督府発行、大正2)を手引きとして、朝鮮における国語表記法の分析を行なった。これは、朝鮮総督府普通教育教科書においては実際の発語音声を重視した文字表記規則(表音的仮名遣い)を用い、文部省国定教科書では歴史的仮名遣いを用いているためである。 夏季には韓国の国立中央図書館で現地資料調査を行い、『學部次官演説筆記』(漢城府内私立學校學會代表者招集席上、隆煕二年十月十九日)、『第二回官公立普通學校教監會議要録』(隆煕二年七月)、『公立普通學校長講習會講演集』(朝鮮総督府内務部學務局、大正元年九月)、『第二、三回朝鮮初等教育研究會録』(大正十五年四月二十八日發行)等の教育講演記録、『教科用圖書一覧』(11冊)、『朝鮮教育法規例規大全』など教育法規など、まだ収集できていない一時資料を多数複写入手することができた。 また現在、webサイト「近代日本と韓国・朝鮮半島」(http://proxy.saga-wjc.ac.jp/nagasawa/)を公開しているが、その中において、『国語読本』の一部テキスト化を行なっている。現在のところ『國史』巻1、2を終了させ、第一次朝鮮教育令後の『國語讀本』では、全8巻中3巻分を終えている。
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