1、我が国における「佛舞」の伝承地が、秋田県の大日堂、長野県の伊豆神社、静岡県の観音堂・泰蔵院・天宮神社・小国神社、愛知県の高勝寺・鳳来寺、福井県の糸崎寺、京都府の松尾寺、大阪市の四天王寺、和歌山県の遍照寺、島根県の隠岐国分寺の十三社寺にのみ伝存していることを突き止めた。 また、福井県福井市糸崎町の糸崎寺に伝えられるものが、上記十三社寺の中では最も古く、他は一度途絶えたものが江戸期に復活もしくは、新たに布教のためになされたものであることが判明した。 2、日本の「佛舞」のルーツは、中央アジアから西蔵(チペット)系寺院を経て、長安(チャンアン)-寧波(ニンポー)-糸崎へと伝わり、現在、彼の地でその名残を留めているのは、大理(ダーリー)の白族(ペーズー)等であることなどが判明した。 また、踊りとは異なり、円運動を基本とする舞は糸崎寺と松尾寺の二寺に限られ、行道、舞い残り、退出所作(所謂入り綾風の)、等も古来からの独特のものであることも明らめられた。 3、中国の古文献である『碧鶏漫志(へきけいまんし)』、『宋学士文集(そうがくしもんじゆう)』等の記述から糸崎寺の「佛舞」が、およそ千二百五十年前の伝承時本来の面影を残しているものであること等が明らかになった。 それは、舞人の風体装束、舞人の人数、持ち物、楽曲の種類等々の細部にいたる物までの合致である。
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