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2004 年度 実績報告書

文化的ヘゲモニーの視点から見たユダヤ系文学のキャノン形成/再編の歴史過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16520128
研究機関岩手大学

研究代表者

齋藤 博次  岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (90180801)

キーワードユダヤ系文学 / キャノン形成 / ヘゲモニー / パーティザン・レヴュー
研究概要

今年度は、ユダヤ系文学のキャノン形成の歴史過程という問題を解明するために、主として3つの方向からアプローチを試みた。第1は、19世紀末から20世紀前半にかけてアメリカに移民してきた東欧系ユダヤ人が都市部で自営業や金融業を通して経済的な力を蓄積していく過程で、いかにして移民の第2世代・第3世代が高等教育の享受や文化産業への進出によって文化的な影響力を持ち始めたのかという問題へのアプローチ。第2は、いわゆるニューヨーク知識人がPartisan Reviewを主な舞台にして、モダニズム文学とモダニズム美学をアメリカの文学世界(出版、批評、研究など)に浸透させるに至った過程と、ユダヤ系批評家と新批評家がモダニズム美学の輸入と流通に関して果たした共犯的な役割の解明。特に、1930年代のPartisan Reviewに収められたエッセイや作品の読解を通して、ユダヤ系批評家がマルクス主義的文学観を脱構築してモダニズム文学の流れを加速させたことを確認した。第3は、文学テキストをcultural materialismや文化的ヘゲモニーといった観点からアプローチする際の基礎的な問題-たとえば、テキストの<内部>と<外部>との関係、美的基準の歴史的な形成、文化と権力との関係など-について考察するために、マルクス主義文学の立場といわゆるsociology of literatureの研究方法を整理した。この点については、アメリカ文学会東北支部例会(3月)で発表した。以上のことを調べることで、十分とは言えないが、1950年代にユダヤ系文学が勃興するための物質的・文化的土台、およびユダヤ系批評家がアメリカ文学のキャノン形成に対して持つようになった影響力についてある程度の解明を得た。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 現代アメリカ文学と<自然>-『郭公の巣の上で』を例にして2005

    • 著者名/発表者名
      齋藤 博次
    • 雑誌名

      Proceedings of the 59th Conference : The Tohoku English Literary Society

      ページ: 7

  • [雑誌論文] マルクス主義批評と文化研究2005

    • 著者名/発表者名
      齋藤 博次
    • 雑誌名

      東北アメリカ文学研究 28

      ページ: 7

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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