研究課題
本研究テーマの研究は実践現場との関わりと表裏一体であり、その意味での今年度の成果は大きかった。東京で一昨年ほぼ同時並行的に開催されたドイツ演劇絡みでの二つの演劇祭の延長戦-文化庁国際芸術振興基金の助成も受けた「ハイナー・ミュラー・ザ・ワールドHM/W」は、一年をかけて各月に参加団体と会議を重ね、その総括の記録集を出す予定だったが、ハイナー・ミュラー没後十年にもあたる今年にHMP活動十五年史もかねて2005年冬に刊行の予定。ただ八月には金沢市芸術村で関連する演劇祭「HMサミット」でミュラーのテクストによる三本の舞台が上演され、あわせてのシンポジウムも開催。HMPの活動はなお進行中である。もう一つ両国シアターXでの「2年がかりのブレヒト的ブレヒト演劇祭」もその二年目。井田邦明演出ブレヒト作『ウイ』の上演パンフに「二年がかりのウイ探しはどこに着地するのか」を寄稿したり、シアターX演劇シンポ「ブレヒトvsベケット」を企画してパネリストとしても参加、等々。ベケット・ゼミとの共同作業も進行中。十一月には、千田是也アーカイブが早稲田大学演劇博物館に設立されたのを記念してオール早稲田文化週間参加企画および21世紀COE演劇研究センター共催によるシンポジウム「千田是也一いま振り返る"新劇の巨人"」に協力してパネリストとしても参加。その記録集の刊行も進行中。その早稲田大学21世紀COEプログラム「演劇の総合的研究と演劇学の確立」にも協力し、その一環として開催された演劇論講座の論を集約した『演劇の知、知の劇場』が三月にペリカン社から刊行された。すでに寄稿済みの岩波講座『文学5』の演劇篇も刊行された。また2005年は「日本におけるドイツ年」で、日本独文学会の企画担当理事としてもだが、演劇関連でも多くの企画や行事が予定されている。その一環としてドイツ文化センターの後援で、ドイツ戯曲を三十作品翻訳するプロジェクトが進行中。若い気鋭のゲルマニストを中心に分担(私もイェリネクなどを担当)、半数の翻訳作業はほぼ完了しているので5月から論創社より1頂次刊行。あわせて、関連のシンポやビデオ・トーク、ドラマ・リーディングなども並行して波状的に随所で企画する「ドイツ演劇プロジェクト2005」も立ち上げ、また現代ドイツ演劇紹介のための拙著『現代ドイツ演劇の構図』も春には刊行予定。いずれも稼動中で、成果は次年度にも引き継がれる。
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Bertolt Brecht and Hans Tombrock- Eine Kuenstler-freundschaft im skandinavischen Exil(Klartext Verlag, Essen)
ページ: 17-25
岩波講座『文学5』(岩波書店) (所収)
ページ: 187-208
劇団黒テント『三文オペラ』上演パンフ (所収)
ページ: 7-14
ゲルマニア(ゲルマニア会編集発行) 第6号(所収)
ページ: 36-30
舞台芸術(京都造形芸術大学舞台芸術研究センター編集・発行) 第5号(所収)
ページ: 86-96
朝日新聞 (十月八日夕刊掲載)