研究概要 |
16年度は、当初の研究実施計画どおり、ポリツィアーノの主要な初期刊本、とりわけ生前に刊行された揺籃期本(incunabula)を確認し、先行研究文献のリスト作成・参照を行なうこととした。そのために、ロンドンのブリティッシュ・ライブラリーとウォーバーグ研究所で調査を実施した(2004年8月28日〜9月12日)。初期刊本については、ブリティッシュ・ライブラリーにおいて、まず全集本の1498年ヴェネツィア初版(アルド・マヌツィオ)、1512年パリ版(ジョス・バード)、1528,1533,1546年リヨン版(セバスティアン・グリフ)、1553年バーゼル版(ニコラウス・エピスコピウス)を参看し、各全集の総序文、収録著作、それら著作の収録順序等を比較した。また、個別著作については、全集初版以前すなわち生前に出版された揺籃期本として、『パッツィ家の陰謀の記録』(Coniurationis commentarium)、『詩森』(Sylvae)、『雑録』(Miscellanea)、『ラミア』(Lamia)のローマ版・フィレンツェ版(アントニウス・ミスコミヌスによる刊行が多い)を参看した。今後の研究はアルド書店全集初版の本文を用いて進める予定だが、以上に列挙した諸異版をも用いることにし、それらのうち主要なものについてはマイクロフィルムを作成して相互に校合することにしたい。研究文献については、ウォーバーグ研究所において最新のものを含む単行書・論文を確認してリスト・アップした。
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