本研究の目的は、日本におけるブロンテ受容の歴史をたどることにある。ブロンテ姉妹が日本の読者たちにどのように受容されたかを、明治初期の紹介の時代から、昭和初期に邦訳が出版されるまでを、文芸雑誌、学術雑誌、新聞その他の一次資料を基に跡づける。研究の3年目にあたる本年度は以下の調査研究を行った。 1、明治35年以降に出版された日本における英文学史におけるブロンテ姉妹の位置づけを、雑誌『英文学研究』『英語青年』および『世界文芸大辞典』その他の文学事典における記述を中心に調査した。 2、大正から昭和初期にかけての世界文学翻訳ブームのなかでブロンテ姉妹の邦訳がいかに受け止められたかをみるために、『朝日新聞』『毎日新聞』『読売新聞』などの記事を検索した。 3、十一谷義三郎による『ジェイン・エア』翻訳の研究に着手した。十一谷は作家として今日知られているが、英文学研究者としての姿はほとんど研究されていない。十一谷にとっての『ジェイン・エア』翻訳がどのような意味をもったのかを明らかにしていく。 本年度は上記の調査がいずれも進行中で、まだ研究成果を活宇で発表する段階に至っていないが、最終年度にあたる19年度に一括して成果発表を行う予定である。
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