研究課題
基盤研究(C)
ギリシアの書簡文学のうち、中務は虚構の書簡、すなわち、(1)実在の著名人の名前を冠した偽文書、(2)職業や身分を特定して手紙の体裁を採った創作文学、(3)伝説や先行文学の内容を書簡体で再話する翻案文学、等に分類できる作品群に着目し、(2)のタイプからは、アルキプロン『漁夫の手紙』『遊女の手紙』、ピロストラトスの『恋文』と『エクプラシス集』を取り上げて、それらの比較検討によって、2,3世紀の文学潮流について、また、とくにアルキプロン『遊女の手紙』へのメナンドロスの喜劇作品の影響について考察、(3)のタイプからはアリスタイネトス「愛の手紙」(5世紀後半?)についてヘレニズムの詩や新喜劇、歴史書など広い分野から素材を仰いでいることを明らかにした。他方、高橋はローマの書簡文学のうち、散文作品から(1)キケロー書簡集、(2)セネカ『倫理書簡集』、韻文作品から(3)ホラーティウス『書簡詩』、(4)オウィディウス『ヘーローイデス』、(5)同『悲しみの歌』、(6)同『黒海からの手紙』を主要な考察対象とし、(1)についてはキケローが残した膨大な量の書簡から112通を精選して一書を編み、合わせて概要を解説に記し(11.研究発表[図書]の項参照)、(2)については前半部分、第80書簡までの邦訳と注解を刊行(11.研究発表[図書]の項参照)するとともに、古典伝統の継承についての書簡形式と密接に関連した自覚的表現に着眼を得た論考(11:研究発表[雑誌論文]中の英文論文)を公表、また、(3)の試訳を完成し、(4)については詩人独自の機知が発揮された表現を観察、その論考は本課題成果報告書に発表する一方、(5)(6)についてはホラーティウス『書簡詩』の第一巻との関連に考究した。
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すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (5件)
文学, 岩波書店 8-1
ページ: 52-58
京都大学文学部創立百周年記念論集「グローバル化時代の人文学」 上巻
ページ: 147-70
平成15〜17年度科学研究費補助金研究成果報告書「古代小説の発生と展開に関する研究」研究代表者:中務哲郎
ページ: 16-48
Kyoto-Cambridge International Symposium.Integrating the Humanities:the Roles of Classics and Philosophy.The Graduate School of Letters, Kyoto University
ページ: 29-38
図書, 岩波書店 683
ページ: 208-09
ページ: 1-15
創文 482
ページ: 16-19
流域, 青山社 56(26-2)
ページ: 28-35
文学, 岩波書店 6-5
アジア遊学, 勉誠出版 82
ページ: 32-43
Sobun 48
世界古典文学全集17『荘子老子』月報, 筑摩書房
ページ: 3-4
別冊「環」(8)「『オリエント』とは何か」, 藤原書店
ページ: 236-37