研究概要 |
平成18年度においては、オックスフォード運動についての理解をGeorge Herring, What was the Oxford Movement?(Continuum, 2002); C.Brad Faught, The Oxford Movement : A thematic History of the Tractarians and Their Times(The Pennsylvania State University Press, 2003)によって深めることができた。さらにS.A.Skinner, Tractarians and the ‘Condition of England' : the Social and Political Thought of the Oxford Movement(Oxford : Clarendon Press, 2004)によって、両世界大戦間、特に30年代において、オックスフォード運動の百周年を契機に盛んになったアングロ・カトリックを中心とするキリスト教社会学運動の原理的出発点について考察することができた。また20世紀になって評価されはじめたG.M.ホプキンズとオックスフォード運動との関連についてもMargaret Johnson, Gerard Manley Hopkins and Tractarian Poetry(Ashgate, 1997)を参考に研究を進めることができた。 成果としてはアメリカのT.S.Eliot Society第27回年次大会(於、セントルイス)において"T.S.Eliot's Idea of a Church : His Possible Indebtedness to the Tractarians"を発表した。これはエリオットの教会観が17世紀のアングリカン神学者たちに依拠するものであるが、それをエリオットに媒介したのはニューマンをはじめとする19世紀のアングロ・カトリックの神学者たちであったということを論証しようとするものである。
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