研究概要 |
当初の計画どおり,初年度の研究作業は「新フランス評論」誌創刊前後の仏白文学交流について具体的な実態調査をおこなうための基礎資料の収集,およびその分析が中心となった。 本研究課題が対象とする時期(一応の区切りとして1904年からの10年間)に主としてベルギーのフランス語圏で刊行され,かつ「新フランス評論」グループと何らかの関わりがあった文芸誌については,すでに予備的な書誌を作成し,いずれの雑誌がリプリント版やマイクロフィルム・マイクロフィッシュで入手可能かを確認済みでったが,まずは,この予備的調査をもとに購入計画を立て,研究計画遂行のための基盤たりうる資料体を所属機関に構築・設置した。 雑誌類の購入・参照と並んで,未刊行の文献や資料(特にジッドとベルギー人文学者たちとが交わした書簡)の閲覧・筆写のためにフランスで現地調査をおこなった。主要な訪問機関は,パリ大学附属ジャック・ドゥーセ文庫およびパリ国立図書館の2ヵ所であったが,ジッドの遺産相続人カトリーヌ・ジッド女史の個人蔵をはじめ,数件の私的コレクションの調査も同時に行った。記載テクストの精確な筆写は時間をとる作業であるが,すでに親交を結んでいるフランス人研究者・図書館司書に解読・筆写の協力を仰ぎ,効率よく作業を進めることができた(協力は個人的な友誼にもとづくものであり,すべて無償である)。
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