平成16年度は、日本アメリカ文学会全国大会(10月17日)において、アメリカ文学と銃をテーマにしたシンポジウムで発表する予定であったため、「銃と女性」という論点に絞って研究をすすめた。9月には渡米。ハーバード大学、イェール大学において、資料を収集。アメリカ文学のW.C.ディモック教授とも意見を交換する。発表に使うヘミングウェイやZ.N.ハーストンといったアメリカ文学に関する参考文献だけでなく、アニー・オークレイ、カラミティ・ジェーンといった銃使いとして著名な女性たちに関する資料、さらには19世紀アメリカにおける女性たちがおこした犯罪の資料、フォークソングなども収集。さらに女と銃に関連する映画も多数鑑賞する。映画という媒体が生み出す女性像の変遷を考える上できわめて有意義であった。 第43回日本アメリカ文学会全国大会において、「神話のスパイラル…アメリカ文学と銃」と題したシンポジウムで、「女たちの一撃…銃神話の変容」という発表をした。アフリカ系アメリカ人作家、ハーストンが、銃を撃ち夫を殺すことによって、声を獲得し、銃神話の変容を試みたという解釈を示す。 三月には香港大学を訪れ、M.ハー教授、A.ラム教授らと、女性と暴力ということについて、意見を交換する。おりよく香港国際文学祭が開かれていたため、各国の作家、詩人の声を聞くことが出来、意見を交換することが出来たのは貴重な体験であった。
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