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2004 年度 実績報告書

フランス・ルネサンス文学に見る「暴力」-「暴力の福音化」から「福音の暴力化」へ

研究課題

研究課題/領域番号 16520168
研究種目

基盤研究(C)

研究機関青山学院大学

研究代表者

平野 隆文  青山学院大学, 文学部, 助教授 (00286220)

キーワードピエール・ド・ランクル / 暴力描写 / 魔女 / 悪魔 / フランス・ルネサンス / 国家論 / 境界 / バスク地方
研究概要

フランス・ルネサンス期から17世紀初頭にわたる、いわゆる魔女狩りの最盛期に、バスク地方で魔女裁判の陣頭指揮を執ったとされるピエール・ド・ランクルの『堕天使とデーモンの無節操一覧』を分析し、中央集権国家の建設過程で、王権が、異質な地方をいかに暴力的にマージナル化していくか、というその過程の「化学変化」を明らかにした。特に、当時のフランスの政治的・社会的・宗教的な平均値から大きく逸脱しているとされたラブール地方の住民を、ド・ランクルが、境界の明確化という観点から、如何に、境界を侵犯する存在として、マージナル化しかつ悪魔視していった過程に焦点を当てて、論考を進め、60ページほどの論文に纏めることができた。
さらに、この論文執筆作業と並行して、フランソワ・ラブレーに於ける戦争描写の喜劇性、および、その描写が現実といかに捻れた関係を切り結んでるか、という観点から、主に『ガルガンチュア物語』のピクロコル戦争を扱った章を中心に分析を施した。
さらに、ヴェルズテガンの『残酷さの劇場』をも読み進め、宗教戦争当時のカトリックが、偶像破壊と殺人に「明け暮れる」プロテスタントを、いかに表象していたか、という点にも注目した。ヴェルステガンの書物には、処刑の様子などが、版画の挿絵入りで紹介されており、文字による説明とイマージュとの関係と、それらが醸し出す説得力についても考察を加えた。
来年度は、パリ国立図書館や国立古文書館で、パンフレおよび殉教録などの書物を調べ、プロテスタント側が描いたカトリックの暴力についても、入念な調査を行いたい。それを踏まえて、宗教戦争関連の書籍を購入し、徐々に分析を進めていくことも同時に行った。その際、特に役に立ったのが、レストランガンの一連の仕事である。パリに赴いた際には、是非、レストランガン教授に、様々な点を御教示願いたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ピェール・ド・ランクル『堕天使とデーモンの無節操一覧』-「デモノロジー=旅行記」に見る境界侵犯への恐怖2004

    • 著者名/発表者名
      平野隆文
    • 雑誌名

      青山フランス文学論集 復刊 13号

      ページ: 55-114

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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