研究概要 |
平成16年度においては、主眼であるThe Malone Society ReprintsシリーズのThe Famous Victories of Henry VのIntroductionの執筆準備を開始した。Thomas Creede印刷所で1598年に印刷されたこの作品の初版から第二版までを詳細に調査し、editorとして本文に関する序文を執筆する態勢を整えた。他の活動としては、日本英文学会『英文学研究』に掲載のAnthony James West,The Shakespeare First Folio:The History of the Book(2vols,Oxford University Press,2001-2003)の書評執筆も行った。さらに『英語青年』誌上では、書誌学観究に関する最新の情報を用いて、現在の研究の動向(海外新潮=6回)を報告した。17年度には、10月に日本女子大学で開催された第44回日本シェイクスピア学会の「書誌学・本文研究の現在」というセミナーでThe Famous Victories of Henry Vについて口頭発表をした。また「教育」面では、12月に同志社大学英文学科からの招請を受け、シェイクスピア作品と書誌学について臨時の授業を行い、また3月には日本シェイクスピア協会発行の『Shakespeare News』に「シェイクスピア書誌学-教育と工夫」と題するエッセイを執筆し、これまでの経験と考察に基づく書誌学の大学における教育方法について論じた。18年度は、同時代の印刷業者John Danter印刷所について、その活動と実績についての歴史的事実の解明を試み、日本シェイクスピア協会創立記念論文集の一本として論文を執筆した。この中では、シェイクスピアを含むエりザベス朝の劇作家の台本が、いかなる経緯を経て印刷、出版されたかを、Danter印刷所を例に考察した。19年度には、当初からの目標であった、The Famous Victories of Henry Vのeditionを完成し、出版した。
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