今年度は、アメリカ・マイノリティのうち、特に女性文学、女性人物に焦点を合わせ、東京とフランスの国際会議で2本発表し、アメリカで1本出版、日本で3本出版した。以下、研究経過である。 2004年6月、「フォークナー国際シンポジウム2004」において、フォークナーの女性の記憶について、"The Theater for Forgotten Scenes in Requiem for a Nun"と題する研究発表を行い、2005年2月には、フランスのレンヌ大学で開催されたInternational O'Connor Symposiumに招かれ、アメリカ南部女性作家オコナーの小説について、"The Forbidden Gaze in Flannery O'Connor's Novels"と題する論文を発表した。また、昨秋、『英語青年』南部文学特集でも、原稿依頼を受け南部女性作家について寄稿した。東京新聞からも執筆依頼を受け、最近のアメリカ文学の動向について、マイノリティのユダヤ系作家Philip Rothとアフリカ系作家Edward P. Jonesが描く9.11.以降のアメリカの不安と恐怖について書いた(2005年2月記事となる)。さらに、フォークナー、アフリカ系、ネイティヴ・アメリカンなどのマイノリティ作家作品における混血人物についても論文を書いた。 また、2004年夏に、かねて原稿を提出してあったフォークナーの女性論"Eunice Habersham's Lessons in Intruder in the Dust"が、A Gathering of Evidence : Essays on William Faulkner's Intruder in the Dustというタイトルの著書の一部としてアメリカの出版社から出版された。 さらに、この間、8月から9月にかけて、アメリカ、ハーヴァード大学図書館において資料調査を行った。
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